桜の季節を楽しんでいらっしゃいますか。日本の国花でもある桜は誰もが良く知る花のひとつです。この季節を彩り春風に舞う桜の花びらは、どんな音をたてているのでしょう。

 一斉に開花し誰をも楽しい気分にさせてくれるこの花は、微かに春らしい明るく優しい音を奏でているかのように感じます。耳を澄ますと「ほろほろ」とうす い桃色の透き透る花びらは、風に舞い心地よい笑い声を上げているかのように感じます。一片になり上下左右に優雅に舞うこの花びらは、沢山の仲間と空中を乱 舞しながら短い命を惜しむかのような美しい音を奏でているかのようです。残念にもその花びらが枝から離れる時も、風に舞い天高く舞い上がる時も、また、地 上を転げ回るときも、水の上で優雅に水と戯れる時も「桜の花の音」として私たち人間の耳には聞こえてきません。

 でも、これほどまでに愛され、親しまれている桜の花に、私たちは「心地よい音や音楽」を無意識のうちに感じているのではないでしょうか。私は桜の花の舞 を眺めているうちに、視覚からメロディー、リズムやハーモニーを感じました。音には人間に聞こえない音が数多くあります。残念にもこの聞いて見たい音を認 知することはできませんが、この季節、もうすぐ目の前から消えてしまう「桜の花の音」を想像してみるのはいかがでしょう。

 桜の木の下で耳を澄ましてみてください。きっと今までに感じたことのない音が聞こえてくるでしょう。聞こえてきそうで聞こえない音。言葉で表現できそうで難しい、そんな音を楽しんでみてはいかがでしょう。

 その昔、この季節、実りの神が宿ると考えられ、桜の開花が農作業の目安とされていた時代もあったといいます。いにしえに想いを馳せて、私は美しく儚げな 花びらと対照的な「桜の音」を探して太い樹に耳を当ててみました。何となく深い呼吸の音が聞こえてくるような気がしました。