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この夏は… 春から走り続けていた、気仙沼での活動〜二度目の個展が終わった後、6月から7月半ばにかけての約一ヶ月半はグッタリ疲れて何もする気が起きなくて、夏の予定も何も入っていないまま過ごしていたのですが… 7月下旬から、なぜか公私ともに突然、新しいできごとが起こり始め、ちょうど前回このブログを書いた8月半ばごろから、あれこれ俄にめまぐるしく展開しつつあり、なんだか大きな変化のときを迎えているようです。 現実には、目の前に転がってくる仕事や人との関わりに精いっぱい取り組んでいるうちに、あっという間に時間が経ってしまうのですが… きっと、あとから振り返ると、大きなうねりの昂りのなかにいるんだろうな。

そんなこんなのこのごろでしたが、ときおり猛暑も忘れるぐらい、緊張と昂揚と楽しみやよろこびに富んだ時間をたくさん過ごせたこと、関わってくださったそれぞれの方々に、心より感謝しています。。。

そして、そんな今年の夏の最後の締めくくりに… 震災以前からのお約束を果たしに、日ごろから私の写真を応援してくださっているご夫婦のお宅を訪ねて、この週末、那須に行ってきました。 直前まで、仕事に追われていた私、那須方面の下調べもできず…ただ我が身を那須に移動させるだけで、あとはお二人にすっかりお任せだったのですが… 土曜日のお昼どき、久しぶりに再会した奥様に「道子さん、どこか行きたいところはありますか?」と尋ねられ、とっさに口から出たのが「アルパカに会いに行きたい!」

数年前、晩秋の出張屋外ロケを控えて、防寒具をあれこれ揃えていたときにめぐり逢って購入した、手紡ぎ・手織りのアルパカのストールが、とっても軽くて温かくって手ざわりも柔らかく、もうすっかりお気に入り♡♡ 冬の間は手放せない愛用の品となっているので… そんなフワフワあったか柔らかい原毛を提供してくれるアルパカ君たちに、ふっと会ってみたくなったのです。 那須に住んでもうかれこれ4〜5年になるというお二人も、アルパカ牧場は初めてのこと、快く、翌日のドライブコースに入れてくださいました。

 

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茶臼岳を眺めつつ高原をドライブし…辿り着いたアルパカ牧場では、那須とはいえ、日本の高温多湿の夏に熱中症にならないよう、アルパカ達は毛をすっかり刈りとられていて…想像していたフワフワもこもこのアルパカのシルエットとはだいぶ違うヤギのような姿で、土ぼこりのたつ牧場で、ひたすら牧草を食べ続けていました。 その光景は、一瞬、無惨なようにも感じられましたが、観光客から餌をもらうのにも慣れているアルパカ達が柵のところまで歩み寄ってくると… 一頭一頭、ものすごく個性豊かな表情をしています。からだの毛を刈られているために、より一層、顔立ちやからだの動きの癖などが個性として際立って感じられるんだなぁ… などと、すっかり感心してしまいました。

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この子は白内障みたい。「耳を倒しているときは警戒したり怒ったりしているので触らないでください」と案内板に書いてあったけれど、耳を倒しているけど懸命に外に首を突き出してもいるので… 目が見えにくい分、好奇心と警戒心が葛藤しているのかも… なんて、想像してしまう。

 

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餌の争いか、ときおり追いかけっこをしているのもいたけれど… やっぱり暑いし、大抵のアルパカ達は、餌に満足すると、足を折り畳んでラクダのように座ってじっとしていました。ものすごく穏やかで優しい瞳。

 

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ほとんどの大人のアルパカは、毛を刈られているけれど、ベビーアルパカは一歳半〜二歳ごろの初めての毛刈りまでは「クリア」と呼ばれ,アルパカらしいモフモフの毛に覆われた姿のまま、日除けのあるコーナーですごしています。この夏生まれたばかりのまだ目鼻立ちもハッキリしていない赤ちゃんが、お母さんにピッタリくっついてピクリとも動かず置物のように座っていました。

このアルパカ牧場で… 自分から行きたい!と言い出したわりに、最初のうちは、なんでわざわざ那須にアルパカを連れて来たんだろう? などと、やや懐疑的なまなざしで眺めていたのですが… これだけ個性豊かなアルパカ達の愛らしい表情を観て廻っているうちに、すっかり彼等の穏やかでのどかな世界に巻き込まれ、なんだか自然にこちらまで、ほのぼのとした笑顔が浮かんでくるようです。 今は夏の暑さで毛も刈られて動きもにぶいアルパカくん達だけれど…これからまた季節は巡り、秋の紅葉や冬の雪景色のなか、あるいは、毛がもふもふに伸びて動きも軽やか楽しげな春先のアルパカくん達にも、会いに来てみたいな〜! 

 

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この日は、前の晩に地元の方に教えていただいた 波切不動樽 を朝のうちに訪ね、奥の院の周りの 輝かしい稲穂の実りの風景にも、いたく心奪われました。 

日本人でよかった… と風景からも実感できる季節の到来!

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この辺りは、昔から、清らかな水が湧き出るところだそう… 

本殿の敷地内には、瀧行を行う為にしつらえられた小さな滝壺があり、そこからさらに水が流れ出る低層の小さな水たまりには、ふと気づくと、足元をピョンピョン飛び跳ねるものが、た〜くさん!!

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こちらも、よくよく観ると、小さなからだに、縞模様やイボの色つや… 同じ種類でも、個体ごとに微妙に色彩や模様が異なり、どの一匹たりとも同じ姿はなくそれぞれに美しい。そしてまたそんな姿が周囲の自然環境と調和している、当たり前のように感じがちだけれど、自然界はなんて美事にバランスがとれているのでしょう!

 

こんな小さな 生きとし生けるものたち との邂逅に夢中になっていると、まだ若いお寺のお坊様から声をかけられ、しばし本殿にあがってお線香をあげてお話をうかがう…そんな思いがけない一期一会もありました。その方は、お寺の息子さんではなくて、自分から志して仏門に入られたそうで… お話の端々に、そんな決意のほどがうかがえました。毎日お寺を掃き清めながら、ガイガーカウンターで測定すると、山の端で落ち葉も多いからか、ずいぶんな高い数値を検出するのだそうです。 見た目には、ほんとうにのどかで輝くばかりに美しい風景なのに… と、とても複雑な気持ちになります。

 

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そのほかにも、あれこれお勧めの場所を案内してくださり、この日のドライブコースの最後には、那賀川上流の深山ダムに連れていってくださいました。

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日ごろダムなど目にする機会の殆どない私… うねうねと曲がりくねる山道のドライブから、山の懐に分け入るような広々とした景色が拓けて、ホッとひと息つけたのもつかの間… あまりの水位の低さにビックリ!! 東京のこの夏、ずいぶん雨が少なくいな…とは実感し、ニュースでも取り上げられるようになってきているけど… 電力も、飲み水も、これから大丈夫なのだろうか。。。

 

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この日は一日、さまざまな生き物たちと自然の様相の織りなす美しさにふれ、あらためて、地球に生きているのは人間だけではないのだと、人間は、そんな自然界の生命の豊かな連鎖のなかにあって、初めて生きていけるのだと、とりとめもなく実感して帰ってきました。それなのに、大気も水も土も汚染し続けていることに鈍感な私たち。。 

私だって、写真すること一つとってみても、最近フィルムや印画紙の消費量は減ったものの…限りある地下資源の銀や石油を一方的に消費し、暗室作業では文字通り“湯水のごとく”大量に水を使い…デジタルになってからは殆どすべての道具が電化され電力を消費する… キレイゴトではすまなくて、写真は私の魂の声だと感じるだけに、なんとか地球環境にそっと寄りそいながら写真をつづけていけないものか… と、常日頃から考えながら日々を過ごしているのですが。 なかなか、簡単に答えが見つかるものでもありません。まだまだ、自問自答の日々はつづく…

 

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写真を撮りはじめると無心になって、一つ処にずっと長居してしまう私を、黙って見守っていてくださった那須のお二人に、心より感謝しております。付かず離れず、そのときどきでお二人のどちらかが私の傍にいてくださって… お互いの違いを尊重し合いながら補い合っているお二人のパートナーシップにも、学ぶところがいろいろありました。ほんとうにありがとうございました。


またいずれ、四季折々の那須の豊かな自然の懐に、遊びに行けたらいいな…