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突然ですが、ある詩を紹介させてください。
 
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Les Iles fortunées フォルチュネ島
ピエール・ドゥ・ロンサール(1524年~1585年)
マルク=アントワーヌ・ドゥ・ミュレに捧げる
 
友よ、風はこう命じている
前へ進めと、きょうじん強靭な腕で
いざ祝福された地に向けて船を出そうじゃないか
福島の幸福港を目指して 青き水の大海原が
ヨーロッパから遠く、そこで起こる争いとは無縁で
僕らのために、友よ、その腕で福島を包み込んでくれるんだ
そこで、僕らは苦難もおうのう懊悩もなく暮らせるだろう
そこでは、ここみたいにとがったすき鋤で傷つけることなく
寛大な母なる大地が、たった一人で豊かな森のように育んでくれるんだ
荒野の中で豊穣の女神ケレスの贈り物を
そこでは、手を加えることなく、葡萄酒の神デュオニュソスのいのち葡萄の樹が
おのれの力でにれ楡の木に、ゆっくりとつる蔓を絡みつけ葡萄の実を成熟させるんだ
そこでは、嘘じゃないよ、木々が花を咲かせたつぼみの数だけ実を結ぶんだ
天の恵みによって尽きることなく
樫の木のくぼ窪みから蜜がしたた滴り落ちてくる
小川には絶えずミルク酪漿が流れ
そのほとりには、青草が一年中刈られずに生い茂っている
草原は北風にさらされることなく
あまた数多の花々に彩られ、玉虫色に輝いている
切り立つ岩からは止め処なくミルク酪漿が湧き出ている
そこでは ここみたいに欲ばりな奴が田畑をしょうあく掌握することはない
激しい音を立てて力づくで(船を造るべく)松原を切り倒すこともない
はるか長い航路を渡り よそ他処の世界を見に行くために
でも 松原がそのりょくいん緑陰からあらわになることなどけっしてない
暑すぎもせず 寒すぎもしない
夜、獲物を求める狼が吠えたて
穏やかに眠りにつこうとしている家畜を怯えさせることなどけっしてない
ほら貝に吹き込む風がそこで音を立てることはなく
野蛮な歩兵隊たちがかぶと兜を激しく突き合わせることもない
そこでは、子供が父親を葬ることはない
そこでは、姉が弟の死を嘆くことはない
夫が妻のなきがら亡骸を抱えて悲しみに暮れることもない
なぜなら、彼らの美しき年月が老いて朽ちることはなく
生涯を通じて天と地のおんちょう恩寵によって 
永遠に若々しく健やかに生きられるから
そう、神々が生きるように
 
翻訳 アヴォカ・小山田 聖子
 
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週末に、宮城県の「ゆと森倶楽部」というところで行われている友人夫妻の展覧会を見に行って来た。
 
上の詩は、その展示のテーマとなっていて、以下が友人のステートメントである。
 
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フォルチュネ島のフォルチュネとは「福・幸福」という意味で「福の島=福島」なのだそうだ。
 
日本の'福島’という名を、地名として認識してしまってからはその言葉の意味を忘れてしまっていたけれど、いまはその意味が皮肉のような意味合いを持って悲しく響くことに気づかされた。
もともとの地名の由来が’福’の島という意味であったかは置いておいても、3.11以前の福島には実際にその名のとおり’福’に溢れた光景が溢れていた。そんな風景をモノクロで切り取った友人の写真と、現在、福島の原子力発電所を巡って起きている混乱と訳のわからない状態を’いかさま師’に例えて表現している旦那さんの絵との夫婦による合同展。
 
どちらもモノクロのその作品たちは、政治的なプロパガンダを強く叫ぶというようなものではなくて、実際に福島に暮らしていた2人が感じた想いを素直に表していて、ただとても静かに、そんな’福島’を壊してしまったのは誰なのだろう、と訴えかけてくる強さがあった。
 
数世紀も前に書かれたロンサールの詩を、福島に重ね合わせていま読むと、涙がでるほどに心に響いた。
 
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今回、じつは1週間ほどの間、東北を旅して、最後にこの友人の展覧会を見させてもらった。
仙台に、東北においでよ、と誘ってくれてきっかけを作ってくれたのはこの友人であり、数日間泊めてもらってお世話になりながら、たくさんの場所へ連れて行ってくれた。
そして最後にこの展覧会を見るために集った仲間たちと楽しい時間を過ごしながら、夫妻の素晴らしい展示を見るという贅沢な時間を過ごさせてもらった。
 
彼女はどこにいて何をしていても、いつも前向きでアクティブで爆発的な行動力の人で、私はそんな彼女をとても尊敬してしまう。たくさんの刺激をもらって有意義な旅となった今回の機会を与えてくれた友人にとても感謝していて、山田夫妻、本当にありがとう!
 
夫妻の展覧会は9月4日まで宮城県苅田郡の「ゆと森倶楽部」で開催されています。
都内からは少し遠いですが、仙台からはバスが出ていて、蔵王の森のなか露天風呂や森林散歩などが楽しめる宿泊施設となっているので、ぜひ泊まりがけで出かけられても楽しいところです。日帰りで立寄りの温泉も可能だそうです。
 
詳細は友人のブログにも記載されています。
 
山田能資・なつみ
「フォルチュネ島」展
期間:2012年7月17日(火)〜9月4日(火)迄
場所:ゆと森倶楽部  http://www.yutomori.com/
〒989-0916 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字上の原128
TEL.0224-34-2311 FAX.0224-34-3147
 
 
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