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「お父さんに会いに行ってくる。」
 
そう言って、母は青森の恐山に行くことにした。
 
恐山にいるイタコに父を呼んでもらって話がしたいのだそうだ。
 
イタコにかんしては私はどこか半信半疑だけど、そういえば以前に父が若い頃に訪れたことがあると話していたのを思い出した。
 
父が若い頃にみた風景。
もしかしたら父が渡ったかもしれない三途の川があるといわれている風景を無性に見てみたくなった。
 

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ちょうど友人の展覧会で宮城へ行くまえに母が青森へ行くというので、私も足をのばして現地で合流することにした。

 

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辿りついたその場所は、霊場として有名な、なんとなくうす気味悪くて恐いところだろうという印象を覆すところだった。
昔、父に聞いたときに「行ったことがある」と聞いて意外だったのだけど、じつはこんな場所だったのだと知ることができただけでも少しだけ父に近づけた気がした。
 

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東北には山岳信仰があって、昔から死んだ人の魂は山の上に集ると信じられていたのだそうだ。
 
実際に、この世なのかあの世なのかわからなくなるような美しい景色を目の前に、’極楽浄土’というイメージが容易に湧いてくる。
 
いまほど便利に車で上がってこれなかった昔に、未開の山に分けいって辿り着いた場所にこんな景色があったら、そこは神聖な魂があつまる特別な場所だと奉るのは、しごく自然なことだろうとかんじる。
 
死んだ魂だけが行くことのできる、見ることのできる場所。昔は神聖な山には女人も禁制であったという。

 

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そのあとで訪れた宮城の蔵王の山頂にも、おなじような山岳信仰の祠があり、そこにも天国のような風景が広がっていた。

私は再度、父に近づけたような気がした極楽浄土に出会う旅となった。

 

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