じつは今、仕事でベルギーに来ている。

まだ着いたばかりでほんの1日街を歩いただけで、香港とはガラッと雰囲気のちがうヨーロッパの街並と空気に少し違和感を憶えつつも、香港の記憶がぐんと過去のことのように距離をもって思い出される。
それでもベルギーの写真はまだ載せれるものがないので、今回はまたすこし香港の旅で気になっていたことについて。
 
 
ss0138_c.jpg
 
前回、昨年に訪ねた際に泊めてもらったとき、友人の家にはフィリピンから来ていた若いお手伝い(家政婦)さんがいて、住み込みで働いていて、クリスマスに何家族もが集った際には、それぞれの家族のお手伝いさんもきて、キッチンは随分と賑やかになっていた。
きっと、友人の家庭は経済的に恵まれているのだろうとはおもうのだけど、聞いてみると、お手伝いさんを雇うというのは香港ではわりと一般的なのだという。実際、週末にはお休みの日を同郷の友人たちと過ごそうと、フィリピンやインドネシアなど東南アジアから来ている女性たちが、グループを作って公園にたくさん集っていて、その数の多さには驚かされる。
公園によって、集る人達の出身国が自然とわかれていたりするのだそうだ。
思い思いに休日を楽しんでいるようで長閑な光景だけど、以前(10年以上前)に香港を訪れた際には気付かなかったので、なんとなく不思議におもえて、なぜか気になっていた。日本では見かけない光景だから、印象に残ったのだろうか。
 
そんなタイミングで、偶然みつけた映画が、中国からきて一生を住み込みの家政婦として働いていたひとりの女性とその住込先の家族の物語だと知って、ベルギーに来る前に観に行ってきた。
「桃さんのしあわせ」というその映画は、監督自身の実話にもとづいたお話。
ここでは映画の良し悪しや感想を述べるつもりはないのだけど、香港の社会のひとつの現実として興味があったので、ちょうどそんな私の好奇心を満たしてくれる作品だった。
多くを望まず慎ましやかに暮らし、病気になったので家政婦をやめ、老人ホームに入ることにする桃(タオ)さんと、子供の頃から面倒を見てもらっていた息子のような存在の住込先の家族の男性とのやりとりを中心に、香港にもある老人ホームの様子やそこにいる人々の特徴、住込先の家族の事情など、淡々とどこか暖かい眼差しで描かれているけれど、きっとドキュメンタリーに近いようなリアルな視点なのだろうとおもわれる。
10代から家政婦として、ひとつの家族に尽くして真面目に働いた桃さんという女性の一生を考えると、切ない気持になるのを禁じえないのだけど、住込先の家族の暖かさや、桃さんを実の親のように面倒をみる男性との心のつながりには優しさがあって、私が香港でかんじたのも、週末の公園での集いを楽しんでいる明るい彼女たちの印象だったので、どこかで私の心にひっかかっていたのは、’外国からきた家政婦’という言葉で浮かべる自分のなかの印象と彼女たちの現実の印象のギャップにたいしての好奇心だったのかもしれない。
 
異国の国で家政婦として住込で働きながら、週末には同郷の友人たちと集って思い思いに過ごすことをささやかな楽しみに、なんだか幸せそうにたくましく強く生きているように思われた。
今回の滞在でも、日曜の公園で花輪を持って自国のダンスを踊る女性たちの楽しそうな姿が、印象的にのこっている。
 
 
ss0139_c.jpg
 
ss0140_c.jpg