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ここのところ怒濤のような日々でいろいろと重なって慌ただしかったのだけど、じつは先々週はパリに行っていた。
 
今回はベルギーの帰りと違って、とてもスムーズに戻ってきたので、それはいいことであるはずなのに、なんだかあっけなく戻ってきて帰国後も忙しくしていると、本当にパリに行っていたのだろうか、というくらい不思議な感覚で…。
 
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それでも私はたしかにパリの中心部にいた。
仕事でルーブルのそばに泊まっていて、その界隈にしかいなかったのだけど、気づけば一番パリらしい素敵な場所にいたのかもしれない。
 
今までにもなんどかパリを訪れているし、友人もいるのでいろいろなところを廻ったつもりでいたけれど、有名なポン・デザール(芸術の橋)を渡ったことがなかった。
この橋からみえる隣の橋ポン・ヌフとセーヌ川に浮ぶサン・ルイ島が美しく、パリで一番綺麗な景色といわれ、芸術家たちが絵を描くという橋なのだそうだ。
 
観光客たちが”鍵”をつけるのが流行ってしまって、ポン・デザール自体は両脇にびっしりついた鍵がきらきらと景観を損ねてしまっているけれど、ここから見る景色は本当に美しく、朝も昼も夜も、渡るたびにうっとりしてしまった。
訪れた季節の違いからなのか、空気が澄んでいるからなのか、それまで私が持っていた印象とあまりにも違って、パリの魅力を今頃初めて知ったようだった。
一番最初にパリを訪れた人がこの橋を渡れば、その後のパリの印象は素敵な綺麗な街として記憶に焼き付くのだろう。
 
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パリでの知人はこの橋をわたってすぐのサンジェルマンのアトリエで生まれた画家の娘で、この界隈が庭だと言っていた。
この景色のなかで生れ育つことの贅沢をすこし肌で感じる。
 
ホテルを出て、ポン・ヌフを渡ってサンジェルマンへ行き朝食を食べる。
どのカフェでもクロワッサンが最高に美味しい。
戻りはギャラリーが立ち並ぶ通りを抜けて、ポン・デザールを渡って美しい景色を見ながらルーブルへ。
夜はサン・ルイ島の小さなビストロで夕食を食べる。
 
どこにも出かけられないフラストレーションを感じずにすんだのは、そんな日常が贅沢だったからだろう。
 
 
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最終日の朝はやく、やっとカメラを抱えてポン・デザールへ散歩にでかけ、暫く写真を撮っていた。
雨が続いて増水したセーヌ川に、まだ残る街の灯りが映っていた。
 
PARIS PHOTOという写真フェアを訪れ、自分がお手伝いする写真フェアも含めて、多くの写真を見る一週間だった。
情報量の多さに、自分のなかに落とし込んで噛み砕くまでに少し時間がかかりパンクしそうだった。
そんな自分を鎮めて、なにかを見失わないよう自分の心をクリアーにするのに、”芸術”の橋はよい場所だった。
 
晴れた日にはここから登る朝日も綺麗なのだそうだ。