五書体にみる千字文のいろいろ 


 

01_23_01.jpg「天地玄黄、宇宙洪荒」ではじまる千字文(せんじもん)は、四字一句が二百五十句ならんだ中国の四言古詩です。千字の漢字が、一文字も重複することなく使われています。千字文は、日本の「いろは歌」のようにリズミカルで読みやすいため、中国や日本において読み書きの教科書として広く普及してきました。 

千字文の作者は、梁時代の周興嗣(しゅうこうし)[470?~521]といわれています。梁の武帝は、王子たちに書を習わせるため、殷鉄石(いんてつせき)に命じて王羲之(おうぎし)の筆跡の中から重複しない文字を千字集めて摸本(もほん)をつくらせましたが、出来上がったものは、単に千字が何の規則性もなくバラバラに並んだ状態であったといいます。これでは手本として使いづらく、覚えにくいだろうと、当代随一の文章家であった周興嗣を呼び出し、これを韻文になるよう考えてほしいと依頼しました。そこで周興嗣は、この千字文を用いた韻文一篇を一晩でつくりましたが、その苦心のために髪が真っ白になったといわれています。 
千字文は、韻文の美しさもさることながら、文字の習いやすさから、手習いのテキストとしても珍重されました。歴代の能書家たちの多くは、この千字文を作品に残しています。 
本展では、楷書、草書、行書など、さまざまな書体で書いた千字文を、拓本や肉筆作品から紹介いたします。 
初学者のための教科書として、また書のお手本として流布した千字文。千字の漢字が放つパワーと美しさを感じてくだされば幸いです。 


[ワークショップ] 

「センジモンをかこう!」 参加費無料(ただし当日の観覧料は必要) 
6/26(日)、7/24(日)、8/7(日)いずれも開館時間中参加できます 
会場:台東区立書道博物館