“水彩画(水絵)は油彩画(油絵)より劣る”と言われていた時代、それを払拭しようと、水絵の情熱を傾けた男たちがいた……。

 

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幕末から明治に日本に移入された水彩画(水絵)は、明治末期になると広く浸透し、展覧会にも多くの作品が入選するなどその全盛期を迎える。この流れの中から大正2年(1913)、日本水彩画会が結成されるものの、水彩画全体としては、以後、不振の傾向を示していった。このような中、水絵に情熱をもって取り組む中西利雄ら若い画家たちが集まったのが、研究グループ「蒼原会」である。

中西は東京美術学校に入学した大正11年(1922)、日本水彩画会仮研究所の仲間であった小山良修、富田通雄とともに「東京三脚会」を作り、同志を募って水絵の研鑽に励んだ。2年後には会の名称を「蒼原会」とあらためて活動の幅を拡げ、やがて地方支部の設置、各地での水絵の講習会開催など、彼らの「新興水彩」運動は、全国に展開していく。その活動は彼らの母体である日本水彩画会の先輩画家たちにも大きな影響を与え、また小堀進をはじめとする次代を担う水彩画家たちも、ここから輩出していった。

このように蒼原会の活動は、水彩画革新のために大きな役割を担ったことは知られているものの、公になっている資料は少なく、活動の全貌はかならずしも詳らかでない。


本展は、新たに発掘した資料等も交えながら、昭和の水彩画史に大きな足跡を残した中西利雄を中心とする蒼原会の活動を明らかにするとともに、あらためて検証しようとするものである。

[構成内容]
16作家の水彩画約90点 関連資料等約60点
1)水彩画の革新者 中西利雄
2)蒼原会の仲間たち
 小山良修/富田通雄/不破章/荻野康児/山中仁太郎 など
3)新たなる展開へ
 小堀進/荒谷直之介/春日部たすく/互井開一 など

[関連行事]
◇講演会「父・中西利雄を語る」
 
日時:11月17日(土) 午後1時30分〜
会場:茨城県つくば美術館 2階講座室 
講師:中西利一郎(中西利雄長男)
* 聞き手:山口和子(本展担当学芸員)

◇親子で楽しむ水彩画ワークショップ「透明ないろ・不透明ないろ」
日時:11月4日(日) 午前10時30分〜午後3時30分
会場:茨城県つくば美術館 2階講座室 
講師:小野月世(水彩画家・日本水彩画会監事)
定員:親子10組20名程度(子供は小学生)
*事前申込制(詳細は当館へお問い合わせください)

◇土曜講座「蒼原会の活動:水彩画に情熱を傾けた男たち」
日時:11月10日(土) 午後1時30分〜
会場:茨城県つくば美術館 2階講座室 
講師:山口和子(本展担当学芸員)

◇担当学芸員によるギャラリートーク
日時:11月3日(土)・25日(日)いずれも午後1時30分〜