師・岡倉天心、そして紫紅、未醒、芋銭、溪仙。彼らとの出会いが、巨匠「大観」を生んだ。

 

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近代日本画壇を代表する巨匠・横山大観[1868(明治元)年〜1958(昭和33)年]は、良き師・岡倉天心から薫陶(くんとう)をうけ、大正期に共に歩んだ良き友4人、今村紫紅(いまむらしこう)、小杉未醒[放菴](こすぎみせい[ほうあん]) 、小川芋銭(おがわうせん)、冨田溪仙(とみたけいせん)との交流から、作風を飛躍的に発展させました。

天心は横浜生まれの思想家で、大観は天心が創設に関わった東京美術学校に第一期生として入学。天心が同校長職を追われた際には、師の目指す理想に共鳴し、日本美術院の創立に参画、新たな絵画の創出に邁進(まいしん)しました。

大正2年に天心が没すると、大観は日本美術院再興の先頭に立ちます。制作においては明瞭な輪郭を持たせないで描くことで悪評を受けた「朦朧体(もうろうたい)」を脱し、東洋趣味の水墨表現、大胆な色彩表現や構図、形態のデフォルメなどに取り組み、のびやかな明るさを持つ作品を生み出しました。

その背景には、革新的な描法や構図を示した紫紅、線の片側をぼかして物のボリューム感を出す「片ぼかし」の技法をもたらした未醒、陽気な気分や飄逸(ひょういつ)さをたたえて特有の自然観を表す芋銭、南画的傾向と装飾性を融合させた溪仙、これら個性豊かな画家たちとの交流があったのです。4人は制作だけでなく、一緒に旅行し、酒を酌み交わし、語らう仲間だったのです。

本展では、彼ら「良き師」「良き友」との関わりを読み解きながら、約140点の作品で明治から昭和初期までの大観芸術の魅力に迫ります。

[見どころ]
本展は、大観が、水墨画における筆法や色彩の工夫、構図の妙、主題の選択やその新たな解釈など、画題、構成、技法とさまざまな挑戦をしながら、モダンで伸びやかな作品を生み出した大正期に焦点を当て、大観がそれらを生み出した背景にある、個性豊かな画家「良き友」たちとの交流に着目しました。
今村紫紅、小杉未醒、小川芋銭、冨田溪仙、この四人の盟友との親交と造形的な影響関係を探りながら、やがて円熟期に至る大観の画業を振り返ります。

大観の名作を、天心の直接の影響下であった時期と、天心没後、盟友らとの交流盛んな時期とを対照してご覧いただけるのは、本展の魅力でしょう。また、大観が愛蔵した盟友の作品や、大観が手元に置いた天心の書なども本展の見どころの一つです。