日本近代洋画の展開にも深く寄与した巨匠の、日本における待望の初個展

 

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もとはギリシアの一地方の名称であるアルカディアは、いつしか牧人が穏やかな自然の中で羊の群れを追う理想郷の代名詞として使われるようになっていった。それは幾多の文明を育んだ地中海世界のどこかに存在するやもしれぬ、誰も見たことのない桃源郷を意味する。唯一神々だけが、そこに舞い降りることができ、その豊かさを享受できるのである。

そんなシーンを、まるで現実の、あたかも遠景で展開しているように描きだした画家がピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)である。19世紀フランスを代表する壁画家として知られるシャヴァンヌは、古典主義的な様式でフランスの主要建造物の記念碑的な壁画装飾を次々と手がけ、並行してそれらの縮小版も制作した。

また、イーゼル絵画においてもその才能を発揮し、数々の名作を残している。イタリアのフレスコ画を思わせる落ち着いた色調で描かれたそれらの作品は、格調高い静謐な雰囲気を湛えるとともに、その含意に満ちた奥深い世界は、象徴主義の先駆的作例とも言われている。

古典的な絵画様式を維持しながら築き上げられた斬新な芸術。スーラ、マティス、ピカソといった新しい世代にも大きな影響を与えただけでなく、日本近代洋画の展開にも深く寄与した巨匠の、本展は日本における待望の初個展となる。