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フランス国立クリュニー中世美術館の至宝《貴婦人と一角獣》展へ行って来ました。

西暦1500年頃の制作とされ、19世紀の作家メリメやジョルジュ・サンドが言及したことで、一躍有名になった6面の連作のタピスリー。英語読みではタペストリーのことで、つづれ織りの壁掛けのことです。
経糸に麻糸 を用い、太い毛の染め糸を下絵に沿って通し、絵柄を織り出します。エジプトの古王朝時代から制作され、十三から十四世紀にかけて欧州では聖堂や城館の壁面や柱間を飾る大サイズのものが作られました。《貴婦人と一角獣》はニコラ・バターユの手がけた《アンジェの黙示録》と並ぶタピスリーの最高峰とされています。

全てに登場する一角獣は西洋の中世・近世美術に描かれる架空の動物。インドに生息し、額の大きな角に蛇などの毒によごされた水を清める力があり、馬に似た姿だが、性質は猛々しく、処女の懐に抱かれるとおとなしくなるとの言い伝えから、純潔の象徴、キリストのたとえとされました。

円形の会場に全長22メートル、6面連作が掲示され、その迫力、華麗さは観客を魅了しています。
織られている絵柄の中心は貴婦人と一角獣。背景は千花文様(ミルフルール)で覆われ、そこに召使・獅子・小動物や樹木・草花が描かれています。

6面はそれぞれ人間の感覚を表しているといいます。
「触覚」=貴婦人が右手で旗竿を持ちながら、左手で一角獣の角に軽くふれています。
「味覚」=貴婦人は侍女の器からお菓子を取り、左手にとまるオウムに与えています。
「臭覚」=皿から花を選びながら、花冠を編む貴婦人。背後の猿が花の香りをかいでいます。
「聴覚」=侍女がふいごを操作し、貴婦人がパイプオルガンを演奏。音楽に耳を傾ける一角獣と獅子。
「視覚」=草地に座る貴婦人の膝に一角獣が前脚をのせ、憩っています。一角獣は鏡に映る自らの姿に見入っています。
「我が唯一の望み」=青い大きな天幕の前で、宝石を手にする貴婦人。侍女が捧げ持つ小箱から、宝石を選んでいる様です。これが何を意味するかが謎に包まれているそうです。今までの五感を超えた六つ目の感覚を表しているのでしょうか?

今回の見どころのひとつである高精細デジタル映像で細かな部分まで見ることができます。織りの技術はもとより、40種類にもおよぶ花や小動物の表情など、じっくり鑑賞できます。
たぶん今世紀中には、クリュニー中世美術館でしか見ることのできない謎を秘めた『貴婦人と一角獣』。関連する彫刻、装身具、ステンドグラスなど約40点とともにぜひお楽しみください。会場のイアフォン案内も便利です!

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また、トレーシー・シュヴァリエ著『貴婦人と一角獣』(白水社Uブックス刊)が発売されています。かつてフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》にインスパイアされ、『真珠の耳飾りの少女』を書き上げたシュヴァリエが、今度は《貴婦人と一角獣》の世界に挑戦しています。タピスリーの原画を描いた絵師、貴婦人のモデル4人、そしてタピスリーを織った工房の親方と職人の7人が、一人称で物語を紡いでいきます。展覧会に行く前に読まれると、会場では想像がふくらんで楽しめることでしょう。

フランス国立クリュニー中世美術館: 
http://www.museesdefrance.org/museum/special/backnumber/0712/special01.html 

フランス国立クリュニー中世美術館所蔵『貴婦人と一角獣展』 
期間:2013年4月24日(水)〜7月15日(月・祝) 
時間:10:00~18:00 金曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで。 
休館:毎週火曜日(ただし4月30日は開館) 
料金:一般1,500円/大学生1,200円/高校生800円/中学生以下無料 
会場:国立新美術館  http://www.nact.jp 
場所:東京都港区六本木7-22-2 
交通:東京メトロ千代田線「乃木坂駅」改札6出口より美術館直結 
   東京メトロ日比谷線「六本木駅」4a出口より徒歩約5分 
   都営地下鉄大江戸線「六本木駅」7出口より徒歩約4分 
問合:03-5777-8600 (ハローダイヤル) 
   http://www.lady-unicorn.jp/