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美術展に行くと部屋の角々に座っていて、写真を撮らないでくださいとか、あまり近づかないでくださいとかチェックをしている人がいますね。監視員の方々です。「楽園のカンヴァス」はその監視員の女性(早川織絵)が主人公なのです。 

その美術館では、次期の展覧会にアンリ・ルソーを企画し、そのためにニューヨーク近代美術館(MoMA)にあるルソーの最晩年の代表作「夢」を借りたいと交渉をしていましたが、MoMAのチーフ・キュレーター(学芸部長)ブラウン氏から早川織絵が交渉の窓口になるなら、至宝「夢」を貸し出してもいいと言ってきます。早川織絵とは何者なのか。なぜ一介の監視員の女性を指名してきたのか。 
この後、織絵の驚くべき過去や、ブラウン氏との関連が明らかになっていきます。

血なまぐさい殺人事件などない、今年度山本周五郎賞に輝く「楽園のカンヴァス」。謎と驚きの美術ミステリーの傑作です。 

「画家を知るには、その作品を見ること。そういう意味では、コレクターほど絵に向き合い続ける人間はいないと思うよ。ああ、でも—待てよ。コレクター以上に、もっと名画に向き合い続ける人もいるな。誰かって?—美術館の監視員だよ。」

「楽園のカンヴァス」原田マハ著   新潮社刊    1,600円(税別) 

[その他の美術ミステリー]

「アベラシオン」篠田真由美 講談社ノベルス 
「霧にけむる王国」ジェーン・ジェイクマン   新潮社 
「冬の旅人」皆川博子   講談社文庫 
「ヒヤシンス・ブルーの少女」スーザン・ブリーランド   早川書房 
「フランドルの呪画」アルトゥーロ・ペレス=レベルテ   集英社文庫