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第58回江戸川乱歩賞に高野史緒の「カラマーゾフの妹」が決まった。
これがいろいろと驚くことがいっぱいのミステリー本なのです。

1.「高野史緒」名はすでに作家として活躍している作家名なのに、どうして同じ作家名をつけたのか?
奥付を見てびっくり。すでに活躍しているSF・幻想作家ご本人でした。乱歩賞ってプロの作家も応募できるのですね!

2.タイトルの「カラマーゾフの妹」はかの有名なドフトエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の続編というのに驚き!
原本「兄弟」の前書きには、第二の小説が重要だと書かれているのですが、著者がすぐに死亡し書けなかった。「妹」はその第二の小説だったのです。

3.「妹」にホームズ名が出てきたのにはびっくり!
「カラマーゾフ事件」が起こったのは1874年8月。第二の物語「妹」が始るのはその13年後の1887年8月。ホームズはすでにワトソンとベーカー街に住んでいて、10番目の「唇のねじれた男」(1887年6月)の後の事件だったんです。

4.カラマーゾフの兄弟に「妹」がいたっけ?
というわけで、原本「カラマーゾフの兄弟」を亀山郁夫新訳(光文社文庫)で再読。妹は出てきませんでした。しかし!

5.高野史緒著「カラマーゾフの妹」を読んで驚きました。忠実に原本を踏襲しているのですが、さすが高野史緒、今ブームのヴィクトリア朝の未来的技術革新である「スチームパンク」を盛り込んだりして、原本にない新しさを出しています。「カラマーゾフ事件」の一つの解決が見事に描かれています。


『カラマーゾフの妹』 高野史緒著 講談社刊

高野史緒著作
「ムジカ・マキーナ」ハヤカワ文庫、「カント・アンジェリコ」「ヴァスラフ」(絶版)「架空の王国」ブッキング、「アイオーン」「ラー」「赤い星」早川書房

スチームパンク小説
「リヴァイアサン」「ベヒモス」S・ウエスターフェルド(ハヤカワSFシリーズ)
「アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う」G・キャリガー(ハヤカワSF文庫)