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18世紀から19世紀、イギリスに生まれて流行をみたゴシック・ロマンスが、いま続々と刊行されています。
ゴシック・ロマンスは近代小説の一大源流といわれ、幻想、怪奇、恐怖、伝奇、そしてミステリーの要素を含んでいます。

1764年のウォルポール『オトラントの城』(研究社)以来、リーヴ『イギリスの老男爵』、ルイス『マンク』(国書刊行会)、マチューリン『放浪者メルモス』(国書刊行会)などを経て、ポー「アッシャー家の崩壊」「赤き死の仮面」「大鴉」、シェリー『フランケンシュタイン』、ストーカー『ドラキュラ』、ホッグ『悪の誘惑』(国書刊行会)などのホラー系、ブロンテ『嵐が丘』『ジェーン・エア』、オースティン『ノーサンガー・アビー』『 高慢と偏見』(ちくま文庫)、 ジェイムス『ねじの回転』(光文社文庫)、モーリア『レベッカ』、ジャクスン『丘の屋敷』『ずっとお城で暮してる』(創元文庫)、エーコ『薔薇の名前』などの文学・ミステリー系に変貌してきました。

11月刊行のP・D・ジェイムスの『高慢と偏見、そして殺人』(早川ポケミス)がいいです。また『レベッカ』(新潮文庫)が新訳刊行されています。さらにDVDでヒッチコックの初期10作品がセットで¥2000でコスミック出版から出ました(レベッカ含む1作品¥200)。

欧米ではゴシック・ロマンスの直系作品が、現在でもモダン・ゴシックの名のもと続々と発表されています。
サラ・ウォーターズ『半身』『荊の城』『エアーズ家の没落』、ボルトン『毒の目覚め』(創元文庫)、ケイト・モートン『忘れられた花園』『リヴァントン館』、そして映画化されたスーザン・ヒル『黒衣の女』(ハヤカワ文庫)はいいです!
アラスター・グレイ『哀れなるものたち』、ダニエレブスキー『紙葉の家』、パムク『無垢の博物館』は注目作品です。

日本では館ミステリーやホラーが隆盛を誇る一方、モダン・ゴシックと呼びうる作品では、皆川博子、篠田真由美が連綿と作品を発表しています。
皆川博子:古くは『聖女の島』『死の泉』『聖餐城』『薔薇密室』『双頭のバビロン』『開かせていただき光栄です』など
篠田真由美:デビュー作『琥珀の城の殺人』『すべてのものをひとつの夜が待つ』『美しきもの見し人は』『アベラシオン』『幻想建築術』『閉ざされて』など