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伝統工芸品「お六櫛」は、中山道の名物として今も愛用されている。時代は幕末の中山道藪原宿。お六櫛の天才職人・吾助の娘登勢は櫛挽に魅了されていた。跡取り息子直助が急死してから、母や妹と登勢は上手く行かず、父親に許された櫛挽の修行は、女が職人になることを認めない宿場の人々により一家は冷遇される。
それでも櫛挽の修行に邁進する登勢は、幕末の動乱を感じながら一途に生きてゆく。
登勢が出たこともない藪原宿を通して、時代の流れと世界の広がりを感じることができる。
限定された舞台と、一途な主人公が深く、そしてどこまでも広い物語に感動する。

木内昇『漂砂のうたう』集英社文庫(第144回直木賞受賞作品)