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今年の3月11日は、どこで誰と何をして過ごしたらいいのだろう…だいぶ前からずっと気になっていたことで…それなりに、どんな行動もとれるよう、10日も11日もこの週末は予定をいれずに空けてありました。 被災地へ向かうのか…都内近郊で行われる様々な追悼イベントのうちのどれかに参加するのか…原発反対のデモや、内部被爆についての映画を観に行くのか…鎌倉でのピースフルウォークに参加したいな、とか、少し離れたところに暮らしている友人たちに久しぶりに会いに行っていろいろ語り合いたいな、なんて心動いたこともあり。

でも、数日前から、心がすうっと静かになって「今、いるところで、できること、今、目の前のやるべきことに取り組もう」と落ち着いてきました。あえて外に出かけずに…自分の心と向きあいながら、祈りを捧げよう。そして、その状態で写真を撮ろう、と。

結局のところ、今、目の前の私のやるべきこと、といえば、提出期限の迫った確定申告と、今月末に始まる『Lovegurumi(ラブぐるみ)』続編の展覧会の準備と、で。 家に居て、10日のうちに確定申告はあらかた済ませ、11日は、仕事部屋で一人黙々と作業したり考えたりしながら、ふと、光が気になるときに写真を写す。そして、黙祷。 そんな淡々とした一日でした。

朝、目覚めたら、障子ごしの明るい光につつまれていて、久しぶりに晴れて青空が広がって、ホッとして。この日の空は、きっと多くの人の心を明るく優しく包容してくれたことでしょう。私の部屋の窓からは、天使の羽のような、ほわほわと可愛らしい雲が浮かんでいるのが見えました。

見慣れた仕事部屋で、さて今日(3/11)は何を写すのか… と、ふと思い至った缶詰2つ。去年のたしか夏頃だったか日曜日の午後、いつもはあまり利用しないもう一つの最寄り駅の方へぶらぶらと歩いて行ってみつけた青空市場で、たまたま出くわした、震災の爪痕のがれきと泥のなかから救い出された缶詰。これを食べるなら、いつか写真に撮ってから…と思いつつ、その日がいつ来るのか、答えがでないまま、ずっと部屋の片隅に取り残されたように置いてあったもの。 そうだ、これは今日、食べよう。 亡くなられた多くの方の慰霊と復興への祈りとともに、そして今、生かされていることへの感謝とともに。 

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缶詰と一緒に写っている水色のハタキは、ときどきお手伝いしている被災写真のスキャニングのときにそっとホコリを払うための専用にしているもの。下に敷いてある紙は、そのとき落ちる砂汚れやホコリを受けるもの。ほんとうに微々たるものだけれど、被災地から救出された写真をごくごく一部預かって、自分の仕事部屋でスキャンしていると、すでに洗浄済みの写真なんだけれど、それでも土砂まじりの海水の乾いたあとだからか、目がシバシバ、鼻はムズムズ、喉はイガイガしてくる。ボロボロになり画像が消えかかっている写真を見ると、胸がザワザワしてキュウっと締めつけられるよう。ほんとうにほんとうに微々たるものだけれど、その体感で、被災された方たちの苦しみや悲しみに、ほんの少しだけでも繋がれるような氣がしてくる。それは、五感に訴えかけてくる痕跡があるから…なんだけれど。そして、五感では知覚できない放射線による汚染に苦しめられている人たちのことに想いを馳せると、さらに胸が締めつけられるのだけれど。

まるで煽りたてられるようだったここ数日のメディアの狂躁は、この日を境に、鎮まっていくのだろうけれど…被災地の、被災された方たちの暮らしの復興は、これからこそが本当に大変な、弛まぬ日々の歩みの積み重ね。離れたところに暮らす私も、同じ空の下に生きているものとして、せめて心のなかのどこかで意識を向け続け、そのときどきで、できることできないことを見つめながら、被災地の方たちも私自身も、これからを精いっぱい生き抜くための心の糧として、日々の暮らしのなかで、美しさを愛でること、楽しむこと、を大切に発信していきたいと思います。

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この春の展覧会のお知らせを3つ。

Lovegurumi(ラブぐるみ)民子とワタルの「夢のお家さがし」
昨秋こちらでも紹介しました、私たちの『Lovegurumi』プロジェクトの
続編を展示いたします。(3/24〜4/8)

今回は、なぜか民子が突然「モデルハウスを見に行こう!」と言い出して…
会場は、昨年、私が二人展を行った ハウスクエア横浜 です。

松村忍個展「子どもの情景」
ラブぐるみ制作委員会のメンバーの一人でもある、手芸作家・松村忍さんのニットウェアの作品展。(3/16〜3/18)
会場は、仙川のオープンガーデン・森のテラス
なるべく木を切らず、四季の自然を感じられるよう心がけて作った施設だそうです。
春の週末、ひなたぼっこに出かけたら気持ちよさそう!!

「nude」展
昨年、ハウスクエア横浜で二人展をやったときの相方、渡邊有智子さんと
その二人展のきっかけをつくってくださった タムラタクミさん、今井紀彰さん が参加されているコンテンポラリーアートのグループ展。(2/17〜3/17)
会場は、青葉台の小さなギャラリー studio M
現代アート作家・土志田ミツオさんの運営するギャラリーで、雑居ビルの3階という生活空間のようなスペースで肩肘はらずに現代アートに親しめます!

どれも都心からは少々遠いですが… 春の佳き日に、遠足のようなつもりで
おでかけいただければ幸いです♡

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