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5月28日 から 6月2日 まで、月曜日から土曜日までの6日間、京橋の Gallery K で開催していた個展も、おかげさまでぶじに終了いたしました。ご来場くださった皆様、本当に有難うございました。

昨年の初個展から13ヶ月ほどしか経っていないこと、前回の写真専門ギャラリーから現代美術のギャラリーに場が変わったこと、会期が前回の半分以下の6日間しかないこと、等を考え合わせると、今回はどれほどの方が観に来てくださるだろうか… と、やや不安でもあったのですが、始まってみると、おかげさまで、平日にもなかなかにたくさんの方が訪ねて来てくださり… 結果的には、日割り計算で、昨年とほぼ同等の方が観に来てくださっていることがわかり、なんともありがたく嬉しかったです。

そんな訳で、限られた空間のなかに大勢の方が同時に居合わせられて、窮屈で騒々しかったこともあったでしょう。一人静かに鑑賞したいと思って来てくださった方には、居心地が悪かったこともあったかもしれません。申し訳ありませんでした。

それでも、同じ時間に会場に居合わせられた方たちのなかには、不思議なことに、何かしらの共通項を持っていらっしゃる方たちが自ずと集まってきていたことも多々あり、その場で初対面同士、あるいは久しぶりの再会を喜び合うもの同士、あらたな出逢いと交流の場となっていたようでもあり、私の写真ともども、あの空間でのひとときを楽しんでいただけていたら、何よりです。

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今回は会期が短かったこともあり、会期中は可能なかぎり会場に居よう!と心がけておりました。訪ねてくださるお客様の流れが一段落すると、タバコを吸わない私ですが、ギャラリーの展示空間の奥、バックヤードの事務所からベランダに出て、外の空気を吸ってホッとひと息ついていました。

ギャラリーに通い始めて4日目、京橋の雑居ビルの4階に入っている Gallery K の裏窓から、ふっと緑の葉っぱが「おいで おいで」をしているように感じられ、誘われるままベランダに出てみると、植物の蔓が風に吹かれて踊っていました。 咄嗟にカメラを向けて写した一枚は… 背景の無機質で幾何学的なグレーの建造物と柔らかな緑の有機的な曲線との対照が印象に残る、なかなかオモシロイ構成の写真となりました。

その日の朝… 家の玄関を出たときに、ほぼ真っ正面の足元に、可憐な菫が咲いているのに気づきました。それと同時に、うっかりカメラを忘れているのに気がついて、面倒くさがらずにもう一度、家に入り、玄関から3階屋根裏の仕事部屋にカメラを取りに戻り、そうして手にしたカメラで、いつものように、ふと気になった足元の菫の写真を写してから、ギャラリーに出かけました。

…そのおかげで、この、緑の葉っぱの「おいで おいで」の写真も写せた…
私の みちみち 写真は、そんなことの積み重ねがあってこその一枚一枚なのだ、と、我ながら、常にカメラとともに在ることの大切さを、あらためて個展会期中に実感できた、貴重な体験となりました。

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3月半ばにギャラリーの方からお電話をいただいたところから、急展開で今回の個展が決まり、自分のなかで新しい作品がまとまったから展覧会を開いた…というより、いままでの私の日々の撮影行為の流れを俯瞰してみつめてみるような内容として展示を考えました。

この個展開催の一連のプロセスを通じて、作品のセレクトやプリント、展示構成はもちろんですが、個展にあたっての文章を自分の言葉でまとめられたこと、それと連動してプロフィールもまた自分の言葉で書けたこと、さらに、私自身と、日々の私の撮影行為をすべて包括できるような「みちみち」というタイトルを付けられたこと… それら全てが、今の私の有り様を認識するのに、とても有効だった、と、あらためて感じています。

 

観てくださった方のうち、何人もの方から、様々なレベルで「色が綺麗」との感想をいただきました。デジタル写真ならではの発色の鮮やかさは、フィルムの色とはだいぶ違うという面も確かにあるのですが。 色については…かつて美大受験の予備校で初めて油絵を描いたときに、かたちはもやもやと定まらないのに「色感がいいね、透明感がある。透明感はなかなか…出そうと思って出るものではないんだよ。」と褒めていただいたことがあり…意図的に色彩に飛びつくように撮っている訳ではないのですが、なにかしら生来持っている色に対する感覚があるのかもしれません。

「メキシコに行って撮ってみたら?メキシコの強烈な陽射しのもとでの鮮やかな色の世界…林さんの何かが開眼するかもよ」と、今回の個展をみてアドヴァイスしてくださった方も居て…。たしかに、まだ写真を意識的に始める前に旅したメキシコの光景が、あの強烈な光と影と色彩が、潜在意識のどこかに焼き付いていて、その後、私が写真に向かうようになったのかもしれない、と思うところもあり。原点回帰のように、もう一度、メキシコを訪ねてみたい気持ちが、ムラムラと湧いてきました。

 

それとはまた別に、この夏頃までに、ある方に、最近すっかりご無沙汰してしまっている銀塩のモノクロプリントで作品をお届けするお約束があり… すっかりカラーの眼になってしまっている私に、もう一度、基本にかえって光と影を見つめなおす、大切な課題を与えられているのだと、この個展を終えてみて、あらためて感じています。

明日から… いえ今日から… カメラにもう一度モノクロフィルムを入れて、歩きまわらないとね!

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