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2009年の晩夏、森山大道さんの北海道巡回展 第一章を見に、札幌と美唄に向かいました。十数年ぶりに、リュックサック一つで新千歳空港に降り立った私。札幌市内で友人と落ち合うことにはなっていたものの、なんとなく心細く、そそくさと到着ゲートを出て札幌に向かう交通手段を探して歩いていたところ、空港ロビーに、突如かなり大きな湾曲水槽が現れてビックリ!! 一人で所在なく感じていた気持ちを払拭するかのように、しばし撮影に没頭しました。そこには大きなフグがいて、最初はそれを追いかけていたのですが…そのうち、ピノキオのようなトンガリ鼻(ツノ)のある魚を発見!! なんとも面妖な姿にグッときて、色鮮やかな魚そっちのけで、ひとしきり、こればかり写して… ふと、友人との待ち合わせの時間を憶い出して、名残惜しくその場を立ち去ったのでした。

 

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先月、子どものとき以来ずいぶん久しぶりに水族館に行ったことは、2つ前のこのブログ「Aquarium」に記しましたが…

そのときの写真を、ようやく新しいHDDにバックアップして確認できるようになりました。この日は、当初は葛西臨海水族園を目指していたのに…辿り着いたのは、なぜか しながわ水族館。都内近郊の水族館が、新設も既設も、軒並み新しい設備や見せ方に変わってきている中、ここは施設がやや古いせいもあるでしょうが…私には数十年ぶり?の水族館も、あまり時代の変化を感じずにすんなり馴染めて、ちょうど良かったようです。ここのトンネル水槽で… とにかく様々な魚の群れや大きなエイや海亀が、頭上パノラマ的に泳ぎまわるのに、子どものように興奮して、とてもたくさん写真を撮ってしまいました。

たくさん撮りながらも… 何に心魅かれてそんなに写すのか、ただ物珍しさや図鑑的な興味で条件反射のように写していても仕方ない と、自問自答しながらも… しぶとく写し続けているうちに、ふと、見覚えのある魚が視界をよぎりました!

 

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…そう、札幌の空港で親しみをおぼえた 彼奴 です!!

名前も知らなかったから… トンネル水槽の魚たちの紹介パネルも見てみたけれど、体色が地味なせいか、この魚は載っていません。

 

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…なんだろう??… でも再会できて、とても嬉しい。

 

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新千歳空港で目撃した彼奴とは、ちょっとツノのあたりの様子が違うようですが… この恍けた表情は、きっと同類に間違いない。。

 

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この日の写真をようやく確認できたので、ネットで当てずっぽうにあれこれ検索してみたところ… どうやら彼奴等は テングハギ の仲間だということがわかりました。テングハギ、ヒメテングハギ、ツマリテングハギ、オニテングハギ、ミヤコテングハギ… 等、いろいろ種類もあるらしいのですが… 幼魚のときには体色も違い形態も丸っこくツノも生えていなくてほのぼのと可愛らしく、成長するにしたがってツノが伸びてきたり…刺激によって体色がコロコロ変わる種類もいたり… と、何だか不思議な生態のようです。

 

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初めて出会った彼奴は どうも ツマリテングハギ らしい?

そして、しながわ水族館にいたのは ヒメテングハギ? テングハギ?

詳しいことは、まだ調べ足りていないのでわかりませんが… どちらにしても、この鼻のようなツノと分厚い吻が、なんともおかしみのある表情で… 人間の顔に近い親しみを感じるのかもしれません。

 

水族館には、もちろん、タツノオトシゴや、クラゲや、色鮮やかな熱帯魚や、その他にも様々に心惹かれる、ファンタジーを地球上に具現化しているような生き物たちがいっぱいいて… すっかりはまってしまい、これから折々に通ってみたいと感じているのですが…

まずは、この天狗の使いのようなお魚に、水先案内をしてもらえているようで、なんとも面白く心強い道行きになりそうです。

 

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今日は 春分の日。ちょうど今年は東京では、もう桜も咲き誇り、いよいよ新しい季節の始まり、と感じます。
北半球と南半球に、同量の光が届き、陰と陽がきれいに分かれてバランスをとる。そんな日に、地上の世界のことばかりでなく、海中の生き物たちのことを考えてみるのも、ちょうどいい巡りあわせとなったのかもしれません。

地球の誕生から、長い年月をかけて生を営みつづけてきた進化の過程で… 単細胞の小さな命から、海のなかで様々な多様性をもって生きていくうちに、だんだんに地上にあがってきた私たちの、DNAに刻まれているはずの生の記憶。

水族館に写真を写しに通ううちに… そんな太古からの記憶を少しでも呼び覚まして、この愛おしく美しい母なる地球とともに、たくさんの地球の命の仲間とともに、これからも豊かな多様な命の連鎖のなかで生き続けていける、人間の道を、見出せますように。