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1999年春…  忘れもしない 誕生日の朝
目に飛び込んできた朝刊の見出し  
それまで見たことも無かったほど 黒々と太い大きな文字で 

セルビアへの NATO軍の空爆のニュース

幸せな感謝の気持ちで目覚めた朝に  いきなり心が 真っ黒に塗りつぶされたような衝撃を受けた…


次々と繰り返し放映される まるでショーアップされたステージ中継のような 空爆のニュース映像を見るたびに  そこに暮らす普通の人々の営みを想像し…  それをまたテレビ画面を介して眺めるたびに 神経を麻痺させられているよう

彼の地に生きる人たちのことを想うと とても心が痛み・・・ 安全と信じきっているこちら側で 飼いならされている我が身を 腑甲斐なく思う

 

何日も 何日も つづく 空爆の映像を見せつけられているうちに 腹の底から ふつふつと湧いて来た 強い想い

「空爆に費やす火薬をすべて花火にして 敵も味方も 花火の美しさを愛であって みんなで夜空を見上げればいいのに…」

 

***

 

昨秋 遅ればせながら 大林宣彦監督の「この空の花」という映画を観た

 

もともと 打ち上げ花火を愛でるのが大好きな私 いつかは長岡の花火を観に行ってみたい…という望みを ずっと抱いている

その長岡の花火を題材に大林監督が映画をつくった…という評をあちこちで耳にして 必ず観に行きたいと想っていた

 

「世界中の爆弾が花火に変わったら、きっとこの世から戦争はなくなる。」

ポスターに記されていたこのフレーズ… 映画を観ていくうちに --世界中の爆弾を花火に変えて打ち上げたら、世界から戦争が無くなるのにな-- という貼絵『長岡の花火』の作者・山下清画伯の言葉だと知った

 

大林宣彦監督しかり 山下清画伯しかり 私と同じようなことを想った人が 世代を超え時空を超えて 現代の日本にもいるんだ と とても嬉しくなる

 

「この空の花」 期待に違わず -日本の敗戦後の復興のあり様は、果して正しかったのであろうか…- という問い直しをこめた ずしりと重く心に響く 素晴らしい映画だった

 

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***

 

先日 思いがけないご縁で 久里浜港の 久里浜ペリー祭花火大会 を 絶好のロケーションから拝見する機会に恵まれ

目の前に広がる 海と花火を さえぎるものなく堪能できて… 海も花火も大好きな私には ほんとうに幸せなひととき

 

つぎつぎと 豊富なヴァリエーションで繰り広げられる 打ち上げ花火の 艶やかな競演をみているうちに

花火を打ち上げる もともとの心は お盆でもどってきた死者の魂を弔う慰霊と鎮魂のためだった という話を思い出し

単色の花火の美しさと哀しさに しみじみと… もののあはれ を愛でる日本人の心が 息づいているように想う

 

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いっぽうで 様々な色合いや花開き方の組み合わせ花火にも また とても自由で豊かな多様性を感じ 仲間が寄り添い 協力し合い 足りないところは補い合って 生きていく 健気な姿のようにも見えてくる

 

こんな美しく艶やかな 花火の文化を根付かせて 営々と受け継いで来た日本人の 四季折々の自然とともにある 平和な暮らしを愛でる心

一見 弱々しいようでも じつは しなやかで芯のつよい心の有り様 

花火を愛でることを通して そんな有り様が 今一度 多くの日本人の心に呼び覚まされますよう

 

世界のなかでも希有な 大切な 平和を尊ぶ憲法を 日本人自らが 手放してしまうことのないように

しっかり 心の緒を締めていきたい

 

 

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